なぜこんなに抹茶は納期がかかっているのか


公開日 2025年4月26日 最終更新日 2025年4月26日

夏も近づく八十八夜ということで
各生産地では茶摘みが始まっています。

今摘んでいるのは煎茶用の茶葉で、すでに市場でのセリも終わりました。
抹茶はこのあと5月初旬に茶摘みが行われます。

ここまで見ると抹茶の新茶は5月から販売できそうなイメージを受けますが、
実は違います。

茶摘みを終えた茶葉はほぐしながらコンテナに入れられ、
ほぐした新芽を蒸し器に掛けます。

その茶葉を冷まし、碾茶炉という炉で乾燥されます。
炉の温度は180度から200度と高温で20分ほど乾燥に時間をかけます。
九州などでは熱風で乾燥させるそうですが、宇治では煉瓦造りの碾茶炉がほとんど

そのあと茎や葉脈を取り除き、薄葉の部分だけで仕立てた「碾茶」が出来上がります。
碾茶の状態で冷蔵保管することで3月や4月にも抹茶が楽しめます。

その碾茶を石臼で挽けば抹茶となります。
1時間かけて、碾きあがりはたった30gから40g。
石臼に熱がこもると味が変わるので、付きっきりの碾き作業です。

これでようやく抹茶として袋詰めがされます。

この作業は日本の方にはイメージしやすいようで抹茶を用意するのに
時間がかかることをご理解いただける場合がほとんどですが、
海外の方にはこれだけの手間がかかることをほぼ手作業で行なっているのが
ご理解いただけないようで、注文から発送までに時間がかかることを
不審に思われます。。。

基本的に抹茶を袋に詰めるのも手作業です。
自動で袋詰めしてくれる機会があるようですが1台3000万だとか。
矢野製茶場はこの機会を持っているので比較的納期が早いです。

とはいえ、先にも言いましたがもともと抹茶は日本では斜陽産業。

ボールミルという粉砕機にかける抹茶は製菓用で需要がありましたが、
色と味わいを重視した石臼で挽く良い抹茶というのは、販売数が右下下がりでした。

ほとんどが日本の茶道需要で、これもコロナ禍で多くの教室が辞められ需要は下がる一方。

なので生産者も抹茶の生産は減らしていました。
担い手がおらずやめていく農家さんもいました。

そんな所に昨年末から突然やってきた世界的な抹茶ブーム

生産が追いつくはずもありません。
ましてやこのブームが続いたとしても生産量がなく、
特に宇治抹茶は日本の抹茶生産の3%ほどです。

それでもなんとか皆様の注文に応えようと京都アンテナショップ丸竹夷として
も努力をしていますが、現在の14メーカーで注文を分散させてなんとか
需要に応えている状況です。

今までは抹茶の注文は2~3日もあればご用意できたのですが、
原料となる碾茶がない、石臼もたらず数が作れない、袋詰めをする人でもない、
それでも世界中から注文が来る。

このため注文から早くても2週間、果てには1ヶ月以上かかっているのが今の状態です。
すぐに発送をしたいのですが本当に申し訳ないです。

納期がかかるのが不思議に思われる方もいるかもしれませんが、
このような注文の多さをどのメーカーも経験した事がなく対応に追われています。

お急ぎとは思いますが、どうぞお待ちいただけますようよろしくお願いします。

また、個人的な予想ですがこのままのブームが続けば今年の新茶のうち
いわゆる価格が高い上等な抹茶は年内12月には材料が枯渇すると思います。
もしかしたら10月かも。

手摘みの抹茶は茶摘みさんも減って数も少ないので早いうちに完売します。

比較的安価な、当店でも1000円以下で販売しているような抹茶は
なんとか調整をしていけば来年3月から4月くらいまで販売できるかと思っています。

こんな抹茶の状況ですが、1個や2個ならすぐ出荷できるものをご案内しますので
お気軽にメールや問い合わせフォームからご連絡ください。

5個や10個といった数が必要な方は、焦らずお待ちいただけると助かります。
現時点では注文が非常に多く納期を聞かれても答えられない状況です。


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