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#京都観光 秋のおすすめ紅葉スポット その1


アンテナショップということで、この時期になると必ずと言っていいほど聞かれるのが、

「京都で紅葉のお薦めはどこがありますか?」という声。

この場合の”京都”というのは京都府のことではなく”京都府京都市”を指していることがほとんど。日本海側の宮津の成相寺の紅葉という答えは求めていないでしょう。

では京都市内の紅葉となると景色よりも混雑というのが悩み。人の頭、頭、頭ばかりです。それでも、やっぱり京都府京都市のなるべく行きやすいところで、綺麗な紅葉が見たいと言われれば、私はやっぱり「東福寺」をお薦めします。

東福寺とは

秋の紅葉の素晴らしさは京都随一と言われるのが京都市東山区の東福寺。
京都駅の東南に位置して、バスや電車のアクセスも良好。国宝・重要文化財も数多く、臨済宗東福寺派の大本山で季節を通して多くの観光客が足を運ぶ観光名所です。

創建は鎌倉時代の嘉禎二年(1236年)。奈良の2大寺院である東大寺と興福寺から1字ずつ取って、京都最大の大伽藍となる東福寺が造営されました。度重なる兵火や火災にあいますがそのたびに復興を遂げて、中世の禅宗建築だけでなく、近代木造建築の精粋を見ることが出来ることからから「東福寺の伽藍面」ともいわれています。

秋の紅葉シーズンに最も人を集めるのが、東福寺境内中央部にある通天橋という方丈と開山堂を結ぶ橋で、この通天橋から臥雲橋を望む紅葉はまさに絶景です。

通天橋

この写真は2014年11月17日の紅葉の様子。例年京都市内の紅葉は11月下旬が見頃となります。
橋の下には約2千本のカエデがあり、紅葉を一望できる絶景スポットには多い日で約3万5千人が訪れるそうです。

※2014年の写真を掲載していますが、2016年の秋から東福寺では増え続ける観光客と、撮影マナー、危険性を考慮し紅葉期間中の11月中旬から11月下旬まで撮影禁止を決めています。



行くなら午前中


これは、東福寺に限らないことですが京都市内の紅葉スポットと呼ばれる場所へは午前中に行くことがおすすめです。しかも朝の9時前。東福寺は紅葉シーズンに限り、通常より30分早い朝8時半から拝観開始となります。この時間を目指して行けば多少の混雑は避けられます。

東福寺

といっても平日にもかかわらず、朝8時半にはこれくらいの人がすでに列をなしています。
この先に見えるのが拝観券の購入場所。東福寺へ行こうと思うならこれくらいは覚悟しておいたほうがいいです。

それでも京都市内で紅葉のおすすめを聞かれれば「東福寺」。混雑にうんざりするとは思いますが、通天橋からの景色は一度は見るべき秋の絶景です。

 

重森三玲の方丈庭園

そして、ここからがアンテナショップらしいお薦め拝観情報。通天橋からの絶景と人混みにすっかり酔いしれたあとは方丈庭園へどうぞ。シーズン問わず拝観することのできるこの庭園もまた東福寺へ行ったら外すことは出来ない名所のひとつ。通天橋ほど混むことはなく静かに拝観できます。

方丈庭園は東西南北に釈迦の入滅までを表した4つの庭園があり、昭和の作庭家として名高い重森三玲が作庭しました。

 

日本庭園史上初めての星座を表現した方丈東庭

方丈東庭

庭園が完成したのは昭和十四年。4つの近代禅宗庭園は釈迦の生涯を意味する「八相成道」に因んで「八相の庭」と称されています。

方丈庭園の拝観は、庫裏で受付をし庫裡と方丈を結ぶ渡廊下へと向かいます。渡廊下の右側にある方丈東庭は7つの円柱の石組みと天の川を表す白川砂、苔、生け垣を配し夜空に輝く北斗七星に見立てています。この柱、実はもともと東福寺にあった「東司(=トイレ)」で使用されていた礎石です。

 

 

古典的である枯山水をモダンにデザインした方丈南庭

方丈南庭

南庭は方丈庭園の中でも最も広大な210坪の庭で、巨石によって力強く配置された四仙島と、円く描かれた砂紋の八海が配置されたモダンな空間が広がります。

古典的な枯山水をベースに抽象的表現がされたこの庭はまさに近代芸術。正面に建つ向唐破風の表門は昭憲皇后(明治天皇の皇后)の寄進と言われ、明治期唐門の代表作です。

 

 

伝統的な市松模様が立体的にデザインされた方丈西庭方丈西庭

立体的で緑鮮やかな西庭。サツキの刈込みと葛石(かずらいし)で表現された市松模様の庭は別名「井田の庭」とも呼ばれ、日本古来から伝えられてきた伝統的な市松模様を庭園に表現するという斬新なデザインです。

 

 

方丈北庭は色彩感溢れる市松の庭

方丈北庭

西庭の立体的な市松模様から、北庭はより刻みのある市松模様への変化。写真手前の規則性のある市松模様が、どんどんと崩れていき散り散りに。そして一つずつの石が東へと消えてく。釈迦の入滅をイメージしています。

奥のサツキの丸い刈込みや樹々を借景とし、秋には通天橋の紅葉までも借景として取り入れています。

通天橋からの紅葉は多くの観光客が訪れる絶景ですが、方丈庭園だけでもこれだけの魅力があります。ただ、店頭で「京都で紅葉のお薦めはどこがありますか?」と聞かれてもここまで深くお伝えすることができないので、こちらに書いておきました。
東福寺の通天橋と開山堂は一般拝観料400円、方丈庭園は別途400円必要です。

京都府京都市 東山区本町15丁目778
075-561-0087
拝観時間:4月~10月末まで9:00~16:00、11月~12月初旬まで8:30~16:00、12月初旬~3月末9:00~15:30
JR奈良線・京阪本線「東福寺」駅下車、南東へ徒歩約10分
市バス202、207、208系統「東福寺」バス停下車
駐車場20台(秋の特別拝観中は閉鎖)



東福寺


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