公開日 2022年2月4日 最終更新日 2022年2月4日
京都市民における節分の日への力の入れ具合は本当に強いもので、豆まきをして恵方巻きを食べるだけではない京都独特の節分文化(鬼が出ます!)が体験できます。
古来から悪疫などは鬼の仕業とされており、平安時代に行われていた宮中行事の流れを汲む追儺式(鬼やらい)が京都市内の各社寺で行われます。
今回は京都市上京区の廬山寺(ろざんじ)で2年ぶりに行われた追儺式鬼法楽(鬼おどり)をご紹介します。
昨年は新型コロナウイルスの影響により中止されましたが、今年は鬼による恒例の「鬼の御加持」と豆まきも行われました。
廬山寺は京都御所の東隣にある寺院で、寺町通に面しています。道を挟んだ隣には梨木神社があります。
比叡山中興の祖である元三大師良源により平安中期に開かれた寺院で、源氏物語の作者である紫式部が生まれ育った邸宅跡としても知られています。
京都市内では平安神宮の奉納狂言や鬼やらいや千本釈迦堂のおかめ福節分会、壬生寺の壬生大念仏狂言、吉田神社の追儺式(2月2日)などなど各所で節分行事が行われます。
例えば京都大学の東にある吉田神社から廬山寺まで約2.5kmほどの距離の間には、吉田神社の節分祭、須賀神社の懸想文売り、聖護院門跡の鬼も豆を撒く節分会、清荒神の荒神星祭、廬山寺の追儺式鬼法楽と少し歩けば節分会に当たります。
廬山寺の節分会で行われる追儺式鬼法楽は開祖・元三大師が鬼を追い払った故事にちなむもので、コロナ禍に見舞われる前は境内に収まりきらないほどの人が訪れる人気行事のひとつ。
それでは、写真多めに廬山寺の追儺式鬼法楽(通称:鬼おどり)をご紹介します!
廬山寺で行われる追儺式鬼法楽のタイムテーブルは・・・
午後2時15分〜午後2時45分 鬼のお加持
午後3時 鬼おどり
午後4時頃 蓬莱豆と福餅撒き
午後4時過ぎ 鬼のお加持
午後5時 古札焼き式
このような流れとなります。
午前中に廬山寺に行くと本堂には鬼おどりで使用される鬼の着ぐるみが置かれています。
この着ぐるみは太秦の東映撮影所で作られているそうです。
顔は
体のボリュームに対して小顔なのが廬山寺の鬼。
ちなみにこの写真を撮った午前11時には大きなカメラを首から下げたカメラマンたちが陣取りを始めていました。
午後2時になると本堂から鬼が登場して「鬼のお加持」が行われます。お加持を受けたい参拝者に鬼の持っている剣と松明で、参拝客の体の悪い部分を撫でてもらいます。
この時間になると境内には多くの参拝者で混み合います。例年なら鬼おどりを前の方で見たければ午後1時には境内にいるのがおすすめです。京都市内では鬼の登場する事が多い節分会ですが、その中でも廬山寺は1番人気。混雑必須の行事です。
午後2時45分に鬼のお加持は一旦中断され、赤鬼はお堂から避ります。
午後3時になるといよいよ追儺式鬼法楽の始まりです。
能管や笙(しょう)を奏でる雅楽の演奏を先頭に僧侶が本堂へと向かいます。
鬼法楽の終盤で活躍する追儺師と蓬莱師のあとに平安時代中期に実際に元三大師が宮中で使用して鬼を鎮めたと言われる降魔面と元三大師が手に持ち法要で使ったとされる独鈷杵と三鈷杵が運び込まれます。
この降魔面と独鈷三鈷は2月3日に限り公開されており午前9時から拝見することが出来ます。
さぁ!いよいよ鬼たちの入場です!
すでに境内には泣き叫ぶ子供の声と、なぜか吠える犬の鳴き声が響き渡ります。
太鼓と法螺貝の音色もそこに重なり境内の参拝者もざわつき始めました。
松明を持った赤鬼を先頭に青鬼と黒鬼が続きます。
のっしのっしと舞台を踊るのですが、鬼たちはなかなかの役者で参拝者の顔に近づきニラミを効かせたりとサービス精神旺盛でご覧のようにカメラマンはガシャコン!ガシャコン!とシャッターを切り続けます。
吉田神社の追儺式のように迫力がある鬼というよりも、少しふっくらとした気ぐるみとどこかユーモラスな踊りが廬山寺の特徴で、泣く子もあまりいませんでした。
真ん中に黒子のように混ざるお父さんは赤鬼の松明から落ちる火の粉を消すかかり。舞台近くの人は火の粉がかかることもあるのですが、その迫力もまたこの鬼おどりの楽しみの一つ。
先にお堂に入った僧侶たちは本堂でお経を上げています。
その修業を邪魔しようとするのが3匹の鬼たち。舞台を踊り回ると順にのっしのっしと本堂へ入っていきます。
それぞれの鬼にも意味はあり、右手に宝剣と左手に松明を持つ赤鬼は欲深いことを表す貪欲(どんよく)を表現しています。
斧を持った緑色の青鬼は自分の思い通りにならない事への怒りや憎しみを表す瞋恚(しんい)を表現。
※私がいたのが本堂の一番前で、これでもかっていうくらいのカメラ目線を頂いています。
この時点でアンテナショップとして鬼おどりを伝える目的は達成できたのではないでしょうか。
最後に本堂へ入る黒鬼は大槌を持ち無知を表す愚痴(ぐち)を表現しています。
赤鬼は欲深さ、青鬼は怒りや憎しみ、黒鬼は無知と人の煩悩が鬼になって現れているようです。
本堂に入っていった鬼たちは節分の護摩法要をしている僧侶の元を周り修行の邪魔をしています。
赤鬼の持つ松明が真っ暗な本堂を照らして踊り狂います。
ここからストーリーは終盤に入り邪魔をしに来た3体の鬼を僧侶が法力で退散させます。
本堂の中だけではなく、たまに本堂から出て来てくれるのも庶民風俗文化らしくて愛嬌があります。
本堂では僧侶による法力で鬼が弱り始めてきます。そこへ追儺師が東西南北の4方と中央を邪気払いの法弓で追い払います。
実際に弓矢は参拝者のいる方へと放たれるので大きな歓声が上がります。
法力と法弓で弱った鬼が本堂からゆら〜りゆらりと出てきます。
無事に鬼を追いやることが出来たことで、これに参加した参拝者の厄払いもされたということになるようです。
これで追儺式鬼法楽は終わり、すぐさまアナウンスとともに豆撒きが行われます。
本堂から廬山寺の福豆でもある紅白の砂糖でコーティングされた蓬莱豆を蓬莱師が舞台へ運び、その後ろを福餅を持った僧侶と福男が続きます。
ここからは各地で見られるのと同じ「鬼は外、福は内」の豆と餅撒きが始まります。
京都の豆撒きには景品が付くことが多く、吉田神社や護王神社などで豆をいただくとクジが付いてくるのですが、廬山寺では撒いてくれる福餅に「福」の焼印があると当たりで後ほど破魔矢に交換していただけます。
今回は私のいた場所が本堂の一番前ということで、僧侶の方の下にいます。
空に舞う餅を取るには難しい場所、、、
果たして、餅は取れるのか!?
そして「福」の印は付いているのか!?
結果は、、、
お餅一個取れました!
取れたというよりも、不憫に思われたのか手渡しでしたがまぁ良しとします。
残念ながら「福」の焼印はありませんでしたが、廬山寺の福餅は食べると開運出世が出来ると言われています。
蓬莱師と福娘の撒く蓬莱豆は残念ながら回ってきませんでしたが、こちらは境内でも購入できます。
蓬莱豆の中には炒り大豆が入っておりのその周りを紅白の砂糖でコーティングされて金平糖のような硬さの甘い福豆。
紅白1粒ずつ食べると寿命が6年延びると言われています。
廬山寺の追儺式鬼法楽は午後4時に終わり、その後すぐ行われる豆撒きが終わるのは午後4時5分ごろ。
このあとは法要と法弓により邪気払いされた鬼(良い鬼さんになっている)による鬼のお加持が行われ、午後5時に古いお札を燃やす古札焼き式が行われて廬山寺の節分会が終わります。
今年は吉田神社の追儺式が2年連続で中止になりましたが、2月2日の吉田神社、2月3日の廬山寺の鬼やらいは一度は見て欲しい京都独特の節分行事の一つ。
来年の節分はどうなるのか想像の出来ない日々が続きますが、京都へ行ける方は各社寺のHPを確認していただくと事前に行事の開催内容が確認できます。暦の上では翌日が春となりますが、この時期の京都はまだまだ寒いので暖かい服装で起こしください。
廬山寺
住所:京都市上京区北之辺町397
HP:http://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/index.html
“節分の日 廬山寺で開運招く節分会 追儺式鬼法楽(通称:鬼おどり)” への1件のフィードバック