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【東寺】京都駅から徒歩15分の立体曼荼羅


京都駅八条口から徒歩15分。大駐車場も完備、目の前にバス停というアクセス抜群の東寺。
世界遺産(世界文化遺産)にも登録された東寺は京都市内でも有数の仏像スポットで、境内の講堂や金堂には文化財指定を受けた仏像が幾体も並び、その姿は圧巻です。
講堂に安置された21体の仏像は立体曼荼羅と呼ばれ、その荘厳な空間は訪れる参拝者の心を動かします。
期間限定の特別公開など見どころの多い東寺をご紹介します。

東寺は1200年前の姿が残る唯一の遺構

東寺

およそ1200年前に桓武天皇が平安京へ都を移すとともに、悪疫などが蔓延しないよう平安京鎮護のための寺院として建立された東寺。その後、嵯峨天皇が弘法大師空海にこの寺を託しました。東寺は国家鎮護の密教寺院という意味合いが込められた「教王護国寺」とも呼ばれています。

境内は講堂、金堂、五重塔が拝観料の必要なエリア。その他の御影堂や食堂(じきどう)などは拝観料不要のエリアに分かれます。食堂では御朱印を頂ける納経所やお土産などが購入できる売店などがあります。

弘法大師空海の住まい御影堂

東寺御影堂

東寺を訪れる観光客の方が余り行かないのが、境内北西の築地塀で囲まれた一角。ここには弘法大師空海が東寺の造営にあたって住房を構えていた場所で、現在は御影堂、つまり空海の御影を安置するお堂として建てられています。

御影堂では毎朝6時から生身供と呼ばれる法要があり、どなたでも立ち会うことができます。朝早の時間ですので、車で行くか、宿泊した日の翌日に訪れてみてはどうでしょう。御影堂は生身供の始まる朝6時から閉門の時間まで、拝観料不要でどなたでも訪れることが出来ます。

台座から光背まで10メートルの薬師如来像

東寺薬師堂

拝観受付を済ますと入ることができるのが講堂、金堂、五重塔の建つ敷地内。まずは東寺の本堂である金堂からお参りしましょう。金堂は桃山時代に建てられた入母屋造で、国宝に指定されています。

東寺の創建は796年と伝えられており、最初に工事が初められたのが本堂であるこの建物。創建当初の金堂は文明18年の一揆により焼失してしまい、桃山時代の慶長8年に豊臣秀頼により再建されたものが現在に遺っています。

金堂の中には、像高3メートル近くある巨大な薬師如来像と日光菩薩と月光菩薩が安置されています。仏像が立つ台座と背後の光背まで含めると10メートルにも達します。

薬師如来の台座をじっくり見てみると、台座を囲むように小さな仏像が何体も並んでいます。これは薬師如来の眷属である十二神将と言い、薬師如来を守り、薬師如来の願いを助けるといういわばサポーターのような役割の仏像。あまりにも薬師三尊が大きすぎて十二信書は見落としがちですが、十二体それぞれの表情は豊かで一体一体が頭に十二支を模した飾りを付けています。

弘法大師空海の伝えたかったことがこの中に

東寺講堂

金堂の北隣に建つの講堂には21体の仏像が安置されており、密教の教えが記されている曼荼羅の世界をより分かりやすく立体的に表した「立体曼荼羅」として配置されています。東寺の帝釈天がイケメンとして人気なのですが、その帝釈天が安置されているのが、講堂になります。

講堂内の須弥壇には中心に大日如来を安置し、その周りを阿しゅく如来、宝生如来、不空成就如来、阿弥陀如来が囲みます。大日如来の右側には金鋼波羅蜜多菩薩を中心とした5体、左側には不動明を中心とした5体が並び、須弥壇の四隅には広目天などの四天王、須弥壇の両脇に梵天、帝釈天が配置されています。

これだけの仏像が一同に並ぶお堂というのは、京都市内でほとんど見られない貴重な空間。講堂の中では、腰を掛けることの出来るスペースもあるので平安時代から続く立体曼荼羅の荘厳な世界に浸ってください。

五重塔や宝物館は期間限定で一般公開も

東寺五重塔

新幹線で京都駅に近づくと窓から見える大きな塔が東寺の五重塔。
京都のシンボル的存在です。塔の高さは約55メートルで木造の塔としては日本一の高さ。不審火や雷などで過去4回焼失しており、今の五重塔は江戸時代に建てられた5代目となります。

一番下の初層内部は極彩色に塗られた密教空間が広がります。五重塔を支える心柱には大日如来を安置し、その周りを数体の仏像が囲みます。五重塔の内部や宝物館は通常非公開ですが、例年元旦の1日と、春・秋の2回特別公開が行われます。特別公開の期間は東寺さんのHPに掲載されています。

毎月21日は東寺の縁日「弘法市」

弘法市

東寺の境内で毎月21日に開催されるのが「弘法市」という縁日。「弘法さんの日」なんて呼んだりもします。境内に骨董や野菜、着物、陶器などいろいろな露店が立ち並ぶ日で、朝5時頃から夕方4時頃まで行われています。

北野天満宮で毎月25日に開催される天神さんと、弘法さん。この2つは、その日に京都にいるならぜひ覗いてみてください。楽しいですよ。(車で行かれる方は東寺も北野天満宮も縁日の時は境内の駐車場が使えないのでご注意ください。)

東寺から徒歩5分の羅城門跡

羅城門跡

東寺の南側を東西に走る九条通を西に徒歩5分ほど歩くと、平安時代に都の表玄関にあたる大門として建っていた羅生門の跡地があります。

跡地と行っても今は公園の中にポツンと石碑が建っているだけですが、ここに建っていた羅生門を堺に、京の都は内と外に分けられていました。芥川龍之介の小説「羅生門」がぱっと浮かびますね。

東寺の拝観時間は1時間が目安

旅行に行って、御影堂、講堂、金堂、五重塔などを見て回るなら拝観時間は約1時間ほど見ておけばいいでしょう。春と秋の特別公開を絡めるならもう1時間~2時間余分に取ると余裕を持って旅行プランが描けると思います。

そして朝早くから拝観ができる事も嬉しいところです。開門は午前5時、講堂・金堂・五重塔の拝観は朝8時半から可能です。

東寺(教王護国寺)
京都府京都市南区九条町1
075-691-3325
拝観料:大人500円(その他特別公開時の拝観料別途必要)
拝観時間:夏期(3月20日~9月19日)8:30~17:30、冬期(9月20日~3月19日)8:30~16:30(受付は拝観終了の30分前)
駐車場:アリ(縁日の時は利用不可)
JR「京都」駅下車、徒歩約15分
京都バス「東寺東門前」「東寺南門前」「九条大宮」「東寺西門前」バス停下車、徒歩すぐ
名神高速道路「京都南インター」から約5分


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