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公開日 2021年9月24日 最終更新日 2021年10月9日
上七軒特別公演 楓錦会
京都五花街の1つ京都市上京区の上七軒で特別講演楓錦会(ふうきんかい)が9月23日から始まりました。
花街の多くが新型コロナの影響を受けるなか、上七軒歌舞練場での舞踏公演は令和元年の寿会以来2年ぶり。
新型コロナの影響で舞台に立つ機会を失った芸舞妓ために感染対策も万全に開催されました。
上七軒の歴史
京都の舞妓さんといえば祇園や先斗町が有名ですが、上七軒は五花街の中でもひとつだけ離れた京都市上京区北野天満宮の門前にあります。
ちなみに上七軒は「かみしちけん」と読みますが、地元の人は『かみひちけん』と発音するんです。
15世紀の室町幕府の頃、北野天満宮の社殿が一部焼失してしまう騒ぎがあり、これを10代将軍足利義稙が細川勝元に命じて社殿の造営をさせます。
この時に社殿修築の残材をもって東門前の松原に七軒の茶店を建てて参詣人の休憩所としたのが由来となります。
その後、桃山時代には太閤秀吉による北野大茶会が催され、その際にこの七軒茶屋を秀吉公の休憩所に充てて名物の御手洗団子を献じたところ大いに褒められて以来、西陣との結びつきもあり花街として繁栄。
提灯などに丸が連なった紋章を掲げているのはこうした話しに由来しています。
芸妓さん舞妓さんと踊れる盆踊りも
春の北野をどりや北野天満宮の梅花祭、夏には芸妓さんや舞妓さんと一緒に踊れる盆踊りが開催されたりと天神さんへの奉納の意味合いもあるでしょうが、他の花街と違って少しだけ身近に感じられるのが上七軒のいいところかもしれません。
(とは言え、実際にお茶屋さんで遊ぼうと思ったら、それはそれ。しっかりとお金も信頼も必要です、、、)
上七軒の秋の踊りは「寿会」という名前ですが、今回は「楓錦会(ふうきんかい)」という聞き慣れない名前。
これについては芸妓の梅ぎくさんからトークショーの中でお話しがあり、今から約100年ほど前に上七軒の温習会(※)として始まったものに楓錦会という名が付けられていたそうです。
※温習会・・・芸事などの総ざらいとして、習った成果を発表する会。
この頃はスペイン風邪終息の年との事で、この度の踊りもこうした願いが込められて楓錦会という名がつけられました。
チラシデザインも100年前のものをそのまま使用したそうですが、現代でも何ら古さを感じさせない可愛らしいデザインですね。
公演は14時と16時30分の2回公演
楓錦会は新型コロナの影響で席を半分以下にするなど感染対策を徹底した上で行われて、入り口では3基の検温機械と消毒液、チケットの半券には個人の名前と住所、連絡先の記入と万端の構え。
客層も関係するかもしれませんが、皆さんおしゃべりを控えて拍手だけと安心できる空間づくりを徹底されていて安心して楽しむことが出来ました。
今回は初日にお伺いしましたが、この日はちょうど7月に店出しをしたばかりのふみ苑さんの初舞台となり記念の日が重なりました。
普段は聞けない芸姑さんのトークショーから始まった演目は、
・北野めぐり
・御所のお庭
・わしが在所
・はっはくどき愛宕山坂
・北野名所
・上七軒夜曲
今回は感染防止の観点からも地方さんの演奏は北野名所のみで、その他は録音での催しとなりましたが、その音源がまた珍しく50年前に当時の上七軒の芸妓さんが収録したという貴重音源です。
ラストの上七軒夜曲は北野をどりのフィナーレでも使われる名曲。
「ちょっと寄らんせ 入りゃんせ〜〜」
このフレーズは聴いたことある人もいるのではないでしょうか。妙に耳馴染みがよくて、ずっと耳に残る調子です。
今回の楓錦会は、春に行われる北野をどりに比べれば三分の一ほどのコンパクトに纏められた公演ですが、芸姑さんのトークショーが先にありコロナ禍での過ごし方などプライベートなお話もたいへん楽しませてもらいました。京都の花街らしい華々しさもありながら、この時期だからこその一味違った公演となっています。
楓錦会は10月2日まで上七軒歌舞練場で開催されます。京都の花街は今どこも寂しい感じがしますが、こうして少しずつでも芸姑さんや舞妓さん、地方さんなど伝統文化継承の機会を持ちながら守り伝え街が活気づいて行って欲しいものです。
上七軒歌舞練場
京都市上京区今出川通七本松西入真盛町742
HP:http://www.maiko3.com/index.html
楓錦会
前売券3500円、当日券4000円(全席指定)
“上七軒歌舞練場 特別公演「楓錦会」で芸姑さん舞妓さんの踊りを2年ぶりに!” への1件のフィードバック